クルーズに関する豆知識
「クルーズ」の語源は、海賊船の「ジグザグ航行」
最近「クルーズ」という言葉が、日本人の間でも身近なものになってきた。この場合、「観光を目的とする客船による航海」といった意味で使われているわけだが、そのもともとの意味となると、だいぶニュアンスが異なる。
語源は、ラテン語のcrux(十字架)にあるというのが定説で、これには「横切る」という意味もある。そこから派生したkruisenという言葉が、16世紀頃のオランダの海賊たちの間で使われた。その意味は「獲物を求めて海上を行ったり来たりするジグザグ航海」というもので、これが17世紀になって英国でも使われるようになり、cruiseという言葉に変化した。しかし、現代でも海軍用語でcruiserといえば巡洋艦を意味しているように、最初のうちは、主に敵船をさがして軍艦が海洋をジグザグ航海する意味に使われていた。
やがて蒸気船が登場し、船による旅が、一般大衆にもポピュラーなものになり始めると、「特に航海日程を定めないレジャー目的の気ままな船旅」といった意味にも使われだし、やがて、定期船以外の客船による航海一般をクルーズと呼ぶようになった。
現代のクルーズは、ある目的地へ行くための交通手段というより、快適で自由な船上生活そのものを楽しむ新しいレジャーとしての側面が強い。一応日程も組まれているし、目的地もあらかじめ定まっている点が、昔の海賊船の略奪航海とはだいぶ違うが、クルーズという言葉は、そんな現代の船旅の特徴を表現するには最適な言葉だ。
スターボード(右舷)とポート(左舷)の由来
船の右舷を英語では「スターボード(star-board)」と呼ぶ。現在の船は、船尾に舵がついているが、昔の船、特にバイキング船では、舵は必ず右側の舷についていた。そこで右舷のことを「操舵する舷―スティアボード(steer-board)」と呼んでいたのが、次第になまってスターボードになったというのがその定説。操船の最高責任者である船長の居室が伝統的に右舷に設けられているのもこのためだといわれている。
これに対し左舷は「ポート」と呼ばれる。舵が右舷にあれば、当然港への接岸は舵のない左舷から行われるわけで、つまり港(port)側の舷だからポートというわけである。
左舷=港側というこの伝統的な考え方は、そのまま現代の航空機にも引き継がれ、旅客機などの出入口は、現代も機体の左側に付けられている。
昔は本当に橋だった「ブリッジ」(船橋)
船長や航海士が操船を行う場所は、一般に「ブリッジ」と呼ばれ、日本語でも「船橋(せんきょう)」と訳される。実は、かつて船の上に本当に橋がかけられていた時代があった。
帆船時代には船の舵輪は船尾にあり、操船の作業も船尾の甲板で行われていた。しかしその後、蒸気船の時代になり、船体中央部に大きな機関室を設け、両舷側に推進装置としての外輪を設けた外輪船が出現すると、船尾からでは前方の見通しが極めて悪くなり操船に支障が出てきた。
そこで両舷の外輪にかぶせたかまぼこ型の保護カバーを橋のような構造物でつなぎ、その上に舵輪やコンパスなどの装置を移し操舵室をもうけるようになった。それは、まさに両舷側を結ぶ橋そのものだった。
やがて外輪船はスクリュープロペラ船にとって変わられることになり、橋の形をした構造物は必要なくなったが、操舵室そのものは相変わらずブリッジと呼ばれ続け、現在に至っている。
日本人が発明したフィンスタビライザー
両舷の船底近くに小さな翼を張り出し、航走中そこに働く揚力によって船体の横揺れを軽減する装置がフィンスタビライザー。揺れに応じて翼の角度を変え、揚力を変化させることにより、大きな横揺れ減衰力を生み出す。 このフィンスタビライザーは戦前に日本で発明されたもの。三菱造船(現三菱重工業)の元良(もとら)信太郎博士による造船技術上の傑作だ。1923年に対馬商船の暁丸に世界で最初に装備され、同年11月に壱岐〜対馬間を荒天航海したときの横揺れは、作動停止時には平均12度、最大20度に及んだが、これを作動させると平均3度、最大15度まで軽減できたという。
横浜ベイブリッジの高さの由来
横浜ベイブリッジは、横浜市制100周年、横浜開港130周年にあたる平成元年9月27日に開通した。
当時海面から煙突までの高さが世界で一番高い「クイーン・エリザベス2世号」でも通航できる高さで設計された。ベイブリッジの海面と橋の下部との間隙は56m、一方「クイーン・エリザベス2世号」は、52mだった。 しかし、現在では56mを超える客船も登場している。2009年3月6日にクイーン・メリー2世号が横浜港に寄港した際は同船の高さが62mありベイブリッジの下を通過できないので「大さん橋」には入港できず貨物埠頭の「大黒埠頭」に入港した。
クルーズ客船には「リベリア船籍」「バハマ船籍」が多い理由
客船に限らないことだが、船尾の船籍地の表示を見ると、モンロビア(リベリア)とか、ナッソー(バハマ)、パナマのように、一見、海運と縁がなさそうな国の地名が標記されている。日本郵船系のラグジュアリー客船「クリスタル・ハーモニー」などは、バハマ籍である。
このように、船籍を外国に置くことを「便宜置籍船」(べんぎちせきせん)と呼ばれている。便宜置籍船が激増したのは、こうした国に船籍を置くと、税金、船員の資格・労働条件などの面で便宜が得られるからである。サービス要員をはじめ多くの船員を乗せているクルーズ船では、船員費が削減できることは大きなメリットである。ところが、日本の国籍船にすると、運航要員を中心に一定数はどうしても日本人の乗組員を乗船させなければいけない、というようにその国の規制が掛かってくる。反面、デメリットもある。ほとんどの国にカボタージュと呼ばれる規制があり、外国の船による国内輸送を認めていないこともある。
船の大きさ「パナマックス」とは
「パナマックス」「スエズマックス」これらの「愛称」は、いずれも船の大きさを表す言葉で、タンカーやコンテナ船、貨物船などの一般商船で使われている言葉。
最近の大型クルーズ客船の幅をみると、大部分が32.31メートル以下となっていることに気が付く。この32.31メートルという値は、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河で船を上下させるロック(閘門)の幅によって決まるもので、これ以上幅が広い船はパナマ運河の通過ができない。このため船幅32.31メートルの船のことをパナマックス(パナマ・マキシムの省略形)と呼んでいる。
しかし、最近建造される10万総トン型のクルーズ客船で、これ以上の幅のクルーズ船も現れており、こうした船は「オーバー・パナマックス」とか「ポスト・パナマックス」と呼ばれている。
「トン」の由来は酒樽を叩いた音
船の大きさを現すとき、重量トン、総トンなどの表現が用いられるが、このトンという単位、じつは酒樽を叩いたときの“トン”という音に由来するというのは、嘘のようで本当の話。15世紀頃、フランスからイギリスへボルドー産のワインを運ぶ船の大きさを表すのに使われ始めたものだという。ワインの樽をいくつ積めるかで、船の載荷能力を示したわけだ。
当時の酒樽1個の容積は約40立方フィート。これにワインをいっぱいに詰めると2,240ポンドになり、これをメートル法で表すと1,016キログラムになる。このため、以前のイギリスの単位では、1トンは1,016キログラムだった。しかし現在ではメートル法が適用され、1,000キログラムが1重量トンになっている。容積も、かつては酒樽1個を単位としていたが、こちらも100立方フィートが1総トンとなり、現在では船の容積に一定の係数を乗じて得られた数値を1総トンとしている。
船のスピード「ノット」の由来
1ノットは1時間に1海里進む速さと定義されている。現在の定義では1海里(国際海里) = 1852メートルであるので、1ノットは1852メートル毎時となる。簡単な覚え方としてカレンダーを頭に浮かべると1の下は数字は8である、その下の数字は15、その下の数字は22となる。このカレンダーの縦の数字1〜22のそれぞれ下1ケタをとると1852となり覚えやすい。
進水式のシャンパン割りはバイキング時代の生けにえの名残り
船の建造に関係するセレモニーには、着工時に行われる起工式や完成時の竣工式などもあるが、最も華やかなのは何といっても進水式。船主をはじめとする関係者にとっては、それまで船台やドックで建造されていた船がその本来の活動場所である海上へ乗り出す、まさに船の誕生の瞬間を祝う重要な節目である。
進水式の冒頭では、まず船主によって命名が行われる。すると船首両舷を覆っていた幕が取り除かれ、ペンキの色も真新しい船名が現れる。次いでシャンパンによる洗礼が行われる。これはシャンパンの瓶を船体にぶつけて割る儀式だが、その起源はバイキングの時代まで遡るといわれる。
かつてバイキングたちは進水式に奴隷や囚人を生けにえとしてささげた。その名残は、中世以降、血の色を連想させる赤ワインの瓶を割る習慣として世界に広まり、それがやがて白ワインへ、そしてシャンパンへと変わってきたらしい。日本では日本酒が用いられることもある。
命名式と命名者(ゴットマザー)
命名式をもって船の所有権は造船所から船主へ移るため、引渡式とも言われる。進水式(または命名式)では女性の手によって斧(金または銀)で支綱が切断される。進水式の場合は船首をつなぎ止めている支綱を切断し、命名者(ゴットマザー)によって客船名が命名される。
以下現在活躍の日本船の命名者は・・・
「ふじ丸」はクルーズ元年と言われた1989年4月に石原慎太郎現東京都知事(当時運輸大臣)の典子夫人によって行われた。
「にっぽん丸」の1990年3月に紀宮清子内親王(現、黒田清子氏)。
「飛鳥Ⅱ」は2006年2月に横浜市出身の女優の岸恵子さん。
外国船の命名者は王室関係や政治家、女優、アスリートなどそうそうたるメンダー。
「クィーン・エリザベス2」「クィーン・メリー2」はエリザベス2世、「クィーン・ヴィクトリア」はチャールズ皇太子妃のカミラ夫人が、「ロイヤル・プリンセス」は故ダイアナ妃、「MSCファンタジア」は女優のソフィア・ローレンが命名者を務めた。また1988年のカルガリー冬季五輪で活躍したアメリカのカタリナ・ビットが「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」のゴットマザーになったのは、この船が初めてアイススケートリンクを備えたからだという。
七つの海(Seven Seas)とは
「七つの海」とは現在は、北太平洋、南太平洋、北大西洋、南大西洋、インド洋、北極海、南極海のことをさすのが一般的だが、こうした数え方に落ち着いたのは19世紀末以降のこと。それ以前は、北海やバルト海、地中海、紅海などが入った、時代や国によって異なる七つの海があった。そもそも「七」は古くから神聖な数と考えられていて「すべて」をさす意味に使われることが多かった。つまり「七つの海」とは「世界中のすべての海」という意味。
紙テープについて
送る人と送られる人を結ぶ五色の紙テープ。客船の出港時には欠かすことができない風物詩。しかし、この紙テープで送迎する習慣が始まったのは比較的最近のこと。イギリスでは古くから捕鯨船の出帆時にマストや旗竿から赤や青の長いリボンを吹き流して豊漁を祈る習慣があった程度で客船出港時のセレモニーとして紙テープが使われることはなかった。これが普及したきっかけは1915年サンフランシスコで開かれた万国博覧会。日本のある商社が、そこに商品包装用として五色の紙テープを出品した。ところが布のリボンで商品を飾る習慣のある西洋人には結局受け入れられなかった。そこである日本人移民商人が一計を案じ、売れ残った紙テープを安く大量に買い取り「客船出港時に、最後まで別れを惜しむ握手の代わりに」と宣伝したところ大いに当たり、それから世界中に広まり定着するようになった。
日本の造船所が作ったクルーズ客船
クルーズ元年と呼ばれた1989年に就航した「ふじ丸」は三菱重工業神戸造船所にて建造。翌年1990年には長崎造船所で「クリスタル・ハーモニー(現在の「飛鳥Ⅱ」)」が、神戸造船所で「フロンティア・スピリット(現在の「ブレーメン」)」と「にっぽん丸」が就航した。1991年には「飛鳥(現在の「アマデア」)」が長崎造船所で建造されている。
石川島播磨重工業は1990年に「おりえんとびいなす(現在の「デルフィン・ボイジャー」)」を、その姉妹船の「ぱしふぃっくびいなす」を1998年に建造した。また日本鋼管は1989年に「おせあにっくぐれいす」を建造している。
そして、2004年5月と翌年7月にに三菱重工業長崎造船所で建造した「ダイヤモンド・プリンセス」「サファイア・プリンセス」の両船は日本造船史上最大客船である。
全長150メートル以上の船は、どんな大波でも揺れない?
フェリーや近海航路の船で船酔いに苦しんだ経験をもつ人は多い。海に波はつきもの。その波の上を走れば、当然船は揺れるはず。ところがほとんど揺れない船もある。船の揺れ方は、左右への揺れ(ローリング)と船首、船尾が上下する縦揺れ(ピッチング)の2種類に大別されるが、全長150メートルを越す船では、どんなにうねりの大きい時でもピッチングは起こらない。なぜかというと大洋でのうねりの最大波長が150メートルを越す大型船なら、その全長のなかにうねりを吸収してしまえるからだ。
一方ローリングは、いくら大型の船といえども避けられないが、こちらはフィン・スタビライザーという海面下で横に張り出した翼をコンピュータ制御で揺れに応じて動かす装置を用いることで、かなりの程度まで押えられる。このフィン・スタビライザーは、日本人によって発明されたもので、最新の旅客船やフェリーにはほとんど装備されている。
全長150メートル以上、フィン・スタビライザー付きの船に乗る限り、船酔いに悩まされることはまずないというわけである。
日本の船名につく「丸」の由来
日本の船名にはなぜか「丸」のつくものが多い。日本人はさほど不思議とは感じないのだが、外国人にその理由を問われて、「はて?」と答えに窮した経験を持つ人も多いはず。歴史的にみると10世紀ころからすでに「丸」のつく船名はひんぱんに使われており、その起源は古い。語源の説明としていちばん代表的なものが「麿(まろ)」の転化だとする説。もともと自分のことを「麿」といっていたのが、のちに、「柿本人麿」のように敬愛の意味で人につけられるようになり、それがさらに愛犬や刀など広く愛するものにも転用された。その「麿」がやがて「丸」に転じ、船にもつけられるようになった。
もうひとつは、本丸、一の丸などといった城の構造物を呼ぶときの「丸」からとられたという説。つまり船を城に見立てたというわけ。
このほかにも諸説があり、いずれも決定的とはいいがたい。ところで明治期に制定された船舶法取扱手続きに、「船舶ノ名称ニハ成ルベク其ノ末尾ニ丸ノ字ヲ附セシムベシ」という項がある。語源の説明とはいいがたいが、これが明治以降の日本商船の船名に「丸」がつく大きな理由になったという。
船を「彼女」と呼ぶ理由
なぜ、船が女性なのか、その理由については明確な学説もなく、あくまで文法上の慣例と考えるしかない。以下は、この件に関して、かつて、まことしやかに語られていた俗説のいくつかだ。
「その周囲には、一団の男たちが付きまとい、常にてんやわんやの大騒ぎが演じられる」、「見栄えをよくするために多量のペンキ(紅、白粉)を必要とし、時には全身をきらびやかな装飾(満船飾)で飾りたてる」、「その入手費よりも維持費によって人を破局に導く」、「下半身を水面下に隠し、上半身をあらわにして、入港するや否や、まっすぐブイ(ボーイ)のもとに駆け込む」、「正しくリードするためには、当を得た男子が必要である」……。
今どき、こんな説を本気で論じたてたらセクハラとして糾弾されるのは確実。現に、米国の通信社のマニュアルでは「it」と中性代名詞を使うようになっている。
しかし、船が、女性同様に絶えず飾りたてておかねばならず、手間と維持費がかかるものだという考え方は、ローマ時代の詩人の作品にも登場しているほどに古い。男たちの船と女性に関する思いは、古今を通じ、あまり代わり映えがしなかったようだ。
世界唯一のマンション客船「ザ・ワールド」
「クルーズ客船で暮らして世界を巡りたい」それを叶えてくれるのがレジデンシー所有の「ザ・ワールド」(4万3,188総トン)。世界初の洋上マンションシップである。各キャビンをマンションのように購入しそこに住むことができる。キャビンは分譲用アパートメント110室とゲスト用88室。著名なデザイナーによって設計されたアパートメントにはキッチン、洗濯機、家具やウエッジウッド製の食器類を備えている。世界中をクルージングするが年間250日は港に滞在する。カンヌ映画祭やリオのカーニバルなどの世界的イベントに合わせて該当都市にとどまるようにスケジュールされた「移動祝祭都市」。ちなみに分譲価格は、ウン億円単位。オーナーには日本人も数名含まれるようだ。
セレブリティクルーズのファンネルマーク「X」マークの由来
セレブリティクルーズ社の創業者であるギリシャの海運王「チャンドリス(ΧΑΝΔΡΗ)」の頭文字”CH"がギリシャ文字で"X"である。その頭文字「X」をとりつつ最高のサービスを目指す意味で使用されている。よって、Christmas(クリスマス)もCHをXに置き換え「X’mas」と表記される。
クルーズ用語集
A
●アフト(Aft)
船尾。船の後部スターン(Stern)。←→船首:フォア(Fore)、バウ(Bow)
●オール・フラッグ(All Flag)
満船飾(軍艦の場合は満艦飾)のこと。停泊中に祝い事がある時に信号旗などを掲揚して船全体を飾りたてる。客船の場合は出港などの際に船客を迎える歓迎の意を表す。夜間は照明の点滅に変わる。
●アンカー(Anchor)
錨。通常、船首部分に左右一対ずつ格納されている。小島や接岸できない港やサンゴ礁の近くに停泊するような場合にアンカーを下ろす。通常のクルーズでは岸壁へ着岸するのでアンカーは使用しない。
B
●ビーム(Beam)
船幅。
●ボート・ドリル(Boat Drill)
救命艇訓練。
●バース(Berth)
停泊地。転じて桟橋・埠頭(ピア:Pier)、波止場(ワーフ:Wharf)の総称。客室のベッドの意味もある。
●ビルジ・キール(Bilge Keel)
船底と喫水線との間にあるヒレ状のもの。船体の左右の動きを押さえて安定に保つために左右一対ある。ビジルは船底の湾曲部分、キールはかつて船の構造部分にある竜骨をいう。
●バウ・スラスター(Bow Thruster)
船首の喫水線下にある横方向への推進器のこと。船尾部分に付くとスタン・スラスター。その両方を指してサイド・スラスターと呼ぶ。着岸、離岸の際に使用されて、タグボートへの依存を減らす。
●ブリッジ(Bridge)
船橋、操舵室。大型船では操舵室が左右に長く、前方左右に架かる橋のような格好をしていることから、こう呼ばれる。
●ブリッジ・ツアー(Bridge Tour)
クルージング中に行われる操舵室の見学がブリッジ・ツアー。通常は立ち入り禁止部分になっている。9.11同時多発テロ以降は安全管理が厳格となりブリッジ・ツアーを行わないケースが多くなっている。また、ブリッジへの立ち入りを禁止する船もある。
●バルバス・バウ(Bulbous Bow)
船首の水面下にある球状の突起物。波の抵抗によるエネルギーのロスが軽減できるため、スピードも出すことができる。
●バス・ボーイ(Bus Boy)
アシスタント・ウエーター。ウエーターがサービスするときの助手、補助役。
●バトラー(Butler)
元来は執事の意味。クルーズでは乗客の個人秘書的存在でダンスのパートナーなどパーソナルなリクエストに応じて、マン・ツー・マンで対応してくれるスタッフ。日本の高級旅館の仲居さんサービスを欧米の高級ホテルが「バトラーサービス」として導入されたともいわれている。クルーズではキメ細かなサービス対応としてラグジュアリー・クラスの船などで導入されている。
C
●キャビン(Cabin)
船室のこと。主として客室をいう。キャビンの種類、グレードは面積、位置によって決まる。船の外側に面して、バルコ ニーや窓があるアウトサイド・キャビンと船内内側に位置するインサイド・キャビンがある。また、上方階ほど高級キャビ ンになるのが一般的。
●キャビン・アテンダント(Cabin Attendant)
客室担当の接客係。キャビン・クルーともいう。男性の場合はキャビン・ボーイ、キャビン・スチュワード、女性はキャビン・スチュワーデスとも呼ぶ。ベッドメーキングやキャビンの清掃、ルームサービスなどが主な職務。お客様には最も身近な存在。
●カボタージュ(Cabotage)
国内輸送権。国内輸送は当該国籍船でなければできない。外国船が寄港しても、例えば横浜〜神戸間の国内輸送ができないのはこのため。外国船は寄港しても国内間での輸送は禁止されている。貨物船、航空機も同じで国内企業の擁護策となっている。アメリカのクルーズ会社の多くは税制上の利点からクルーズ船をパナマ籍、バハマ籍にしている。このため、ハワイ諸島間やロサンゼルス/サンフランシスコ間の国内輸送ができない。
●キャプテン(Captain)
船長。コマンダー(Commander)ともいう。客船の総指揮官・最高責任者。制服は肩章、袖章に4本の金筋。船の運航部門の総指揮官であると同時にホテル部門を含めた最高責任者としてキャプテン主催のキャプテンズ・パーティーではメイン・ホスト役を務める。また、ディナーでは中央にキャプテンズ・テーブルが設けられて、キャプテンがVIPや誕生日などの特別ゲストをテーブルに招く。時にはダンスのお相手役を買ってでるなど、総指揮官として厳しい表情を見せる一方、柔和な海の男としてお客様の相手も務める。
●カジノ(Casino)
船内エンターテインメントの一つ。外国船ではカジノ収入の比率が高く、クルーズ料金を低下させ、大衆料金を実現させる要因にもなっている。日本籍船は、公海上であっても、国内法(刑法)で現金を賭けることが認められていないので、獲得したチップ数に応じてロゴグッズなどの賞品が提供されている。
●チャート(Chart)
海図のこと。
●チーフ・エンジニア(Chief Engineer)
機関長。エンジン、発電機などの運転や整備にかかわる機関士、操機手を指揮・監督する。
●コンシェルジェ(Concierge)
クルージング中のよろず相談スタッフ。船内のファシリティ、イベント、レストラン、ショア・エクスカーションなどの案内や予約手配も行う。ホテルのコンシェルジェと同等な職務。元の意味は門番。
●クルー(Crew)
下級船員を指す。航海士、機関士、通信士、船医、事務長などの上級乗組員はオフィサー(Officer)と呼ばれる。また、オフィサーを含む運航部門のスタッフを総称してクルーと呼ぶこともある。
●クルーズ・カード(Cruise Card)
乗船証明カード。当該クルーズの乗客であることを証明するカードで身分証明書、キャビンのカードキー、クレジットカードの登録書などを兼ねた万能カード。乗船時に発行され、下船の時はこのカードで精算する。また、寄港地で乗船/下船するときは提示を求められ、セキュリティ確保にも役立っている。
●クルーズ・ディレクター(Cruise Directer)
船内イベントやエンターテインメントなどクルーズ中のレクリエーションの企画、演出、運営の最高責任者。ステージ・マネージャー、スポーツ・インストラクターなどを統括する。船内のお楽しみプログラムを支えるクルーズならではの役職。乗船直後に開かれるクルーズ説明会(オリエンテーション)では司会も務める。
D
●デイリー・プログラム(Daily Program)
船内の日替わりイベントやアクティビティ。前日の夜にキャビンへ届けられる船内新聞で案内される。
●ダビット(Davit)
救命艇の昇降機。ボート・ダビットともいう。
●デッキ(Deck)
甲板。クルーズでは船内の各階層を指す。クルーズ船や会社によってデッキ名は一定ではないが基本的には、搭乗ゲートやレセプションがある階層はメイン・デッキ、屋根付きで雨天でも船内歩きができるプロムナード・デッキ、最上階でスポーツ施設がまとめられているオープン・デッキ、プールがあるプール・デッキなどがある。デッキごとに機能が異なっているので、クルージング中はデッキの名称を覚えておくと便利。
●デッキ・プラン(Deck Plan)
船内の平面見取り図。各階層(デッキ)ごとにキャビンやレストラン、シアターなどの配置が表示されている。パンフレットやブロシュアに掲載されている。船首は右側か上方に位置して表示される。乗船しなくてもデッキ・プランを読み取ることでお客様のクルーズ・ライフが想定できて、説明も具体的になる。クルーズセールスの第一歩はデッキ・プランの解読から始まるといっても過言ではない。
●ドラフト(Draft)
喫水。船が水に浮くとき、船体が水中に没している部分の深さ。船の最下部から水面までの垂直の長さ。
●ドレス・コード(Dress Code)
夕方から就寝までの船内ナイトライフの服装基準。カジュアル、セミフォーマル(インフォーマル)、フォーマルの3段階に分けるものが一般的。
F
●フィヨルド(Fjord)
氷河による侵食によってできたU字谷が海面下に沈み、海水が浸入してできた狭くて深い湾、入り江(峡湾、峡江)のこと。代表的なフィヨルドクルーズとしては、ミルフォードサウンド(ニュージーランド)やインサイドパッセージ(アラスカ)、ソグネフィヨルド・ゲイランゲルフィヨルド・トロンへルム・フィヨルド(ノルウェー)などがある。
●フェアウェル・パーティー(Farewell Party)
下船前夜、開かれるお別れパーティー。
●フィン・スタビライザー(Fin Stabilizer)
船の横揺れ(ローリング)防止装置。船体の中央付近に左右一対ある、魚のヒレのような小翼。コンピューター制御によって動揺に対応して船の横揺れを最小限に止める装置。日本人の発明である。ほとんどのクルーズ船に装備されており、これによって船酔いが減少されている。
●ファースト・シーティング(First Seating)
2回に分けてダイニングで食事するときの第1回目の食事、または席順。第2回目の食事はセカンド・シーティング。また、2回に分けてダイニングで食事することをツー・シーティングという。クルーズ中のダイニングの着席順は最初の食事で決められてしまうことが多い。通常は変更できないが、お客様同士の了解を得て、失礼にならない限り、変更することができる。テーブルの席順を決めないシステムをフリー・シーティング、オープン・シーティングという。
●フォア(Fore)
船首のこと。へさき、艦首バウ(Bow)。←→アフト(Aft)。
●ファンネル(Funnel)
船の煙突。
●ファンネル・マーク(Funnel Mark)
船の煙突に表示されている船会社のサイン、マーク。旅客機の尾翼のマークに当たるもの。ロゴマークや文字を描いているもの、色で表示するもの、ストライプで示すものなど多種ある。遠くから見ても船名や船会社が分かるように、ファンネル・マークは船には欠かせない表示である。
G
●外航船
関税法上の「外国貿易船舶」の俗称。外国貿易のためにわが国と外国の間を行き来する船舶で、出入りする港は開港に限り、出入港に際しては、港則法、港湾法の規制を受けるとともに検疫法、関税法、トン税法上の手続きが必要となる。また、クルーズ客船については、貨物船以上に厳しい基準が課せられている。→内航船
●ガラ・パーティー(Gala Party)
クルーズ中に開かれる最も華やかで盛大なパーティーのこと。ディナーでは最も豪華な料理がサービスされる。船長主催のパーティーを指すこともある。「ガラ」はイタリア語で「祝典」「お祭り」の意味。
●ギャレー(Galley)
船の調理室。ダイニング・レストランをはじめ、クルーズ船には数種のレストランがあるので、ギャレーも複数になる。シェフやコックはイタリア、スペイン、オーストリア、モーリシャスなどの人が多い。
●ギャングウエー(Gangway)
乗/下船の時に使われる取り付け式のタラップ。舷門。船貞仲間をギャングと呼称したことから、船入の出入りタラップに転じた。
H
●ホテル・ディレクター(Hotel Director)
クルーズ船は浮かぶホテルでもある。そのホテル部門の最高責任者がホテル・ディレクター。ホテルのGM(総支配人)に該当する。キャプテンに直結する要職。お客様へのサービス、ソフト部門の総責任者でチーフ・パーサー、クルーズ・ディレクターをはじめシェフ、カジノ、メイトルディーなどを統括している。
I
●インマルサット(Inmarsat)
国際海事衛星機構(The International Maritime Satellite Organization)のこと。1979年に設立。サービス開始は1982年。静止軌道に打ち上げられた9つの衛星により、船舶をはじめ航空機、陸上交通機関による電話、テレックス、ファックス、パソコン通信などの世界的な利用を可能とするシステム。
J
●ジョイスティック(Joystick)
離岸、接岸時に使用されるスティック・タイプの操船ハンドルのこと。ブリッジ内やブリッジウイング(ブリッジの左右に船幅いっぱいに張り出したテラス部分)にジョイスティックを備えた専用の操船装置があり、船長や航海士がこれを使って離岸、接岸する。
K
●海上人命安全条約
SOLAS条約(The International Convention for the Safety of Life at Sea)のこと。航海の安全を図るため、船舶の検査、証書の発給などの規程を設け、船舶の構造、設備、救命設備、貨物の積み付けに関する安全措置等の技術基準を定めている。
●海洋汚染防止条約
MARPOL条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships)のこと。海洋汚染の防止を目的に、船舶の構造や汚染防止設備等の技術基準を定めている。
●国際海事機関
IMO(International Maritime Organization)のこと。1958年3月に政府間海事協議機関IMCO(Inter-Governmental Maritime Consultative Organization)としてロンドンに設置された。1982年5月、IMOに名称変更。海上の安全、航行の能率および海洋汚染の防止等、海運に影響する技術的問題や法律的な問題について、政府間の協力を促進するとともに、最も有効な措置の採用や条約等の作成を行っている国連の専門機関。
●国際信号旗
他船や陸上とのコミュニケーションに使用される旗。1858年、英国で制定された国際通信書によって世界的に統一されている。アルファベット旗、数字旗、回答旗、代表旗がある。
〈アルファベット旗の主な使用例は次のとおり〉
■G旗=本船は水先人が欲しい
■H旗=水先人を乗せている
■P旗=本船は出港するので全員帰船せよ
(港内の場合)
■Q旗=本船は健康であり、検疫を求む。別名イエローフラッグ
■W旗=本船は医療の援助が欲しい
●混乗
日本人船員と外国人船員が同一の船舶に乗組む配乗形態のこと。
●キール運河(Kiel Canal)
バルト海側のキールから北海へ流れるエルベ川のブルンスビュッテルへ抜ける運河で、1895年に完成した。正式名称は、北海バルト海運河(Nord Ostsee Kanal)。全長は約98 ㎞、幅102m、水深11m。北海とバルト海の海面の間に高度差は殆どなく、潮の干満に対応するための閘門が運河の両端にある。通航の所要時間は、約8時間。
●ノット(Knot)
船の速度を表す単位。1ノットは1時間に1海里を進む速さ。1海里は1,852メートル(地球の子午線の1分の長さ)。一般的にノットは「結び目」も意味する。昔、一定間隔でマークされた結び目のロープを海中に投げ入れて、一定時間にいくつの結び目が放出されたかで船の速度を計った。通常のクルーズ船は15〜20ノット。最も速い客船はクイーンメリーでの約30ノット(試験航海時、時速55.5km)。旅客カーフェリーではアルゼンチン/ウルグァイを結ぶ旅客カーフェリー、ルシアノ・フェデリコの60ノット(時速111.12キロ)といわれている(『クルーズ一問一答』海事プレス社刊)。
L
●リド(Lido)
デッキ後部のプールなどがある部分。リド・カフェはカジュアル・スタイルの喫茶室やレストランを指す場合が多い。「リド」の本来の意味は屋外プール、海岸の保養地。
●ライフボート(Life Boat)
救命艇。
●ライフ・ボート・ドリル(Life Boat Drill)
非常時の緊急避難訓練。略してボート・ドリルともいう。各キャビンには緊急避難する際のボート番号が明示され、ライフ・ジャケットが常備されている。外航クルーズの場合は出港後、24時間以内にライフ・ボート・ドリルを実施することが義務づけられている。ライフ・ボートが備えられている甲板がボート・デッキ。
●ライフ・ジャケット(Life Jacket)
救命胴衣のこと。通常、各キャビンに乗客定員分が備えられているが、救命艇側など船内各所に予備のライフ・ジャケットが備えられている。
●ライン・ハンドリング(Line Handling)
ロープの取り放し作業のこと。接岸、離岸する時に船と陸を繋ぐ係船用のロープ(ホーサー)を岸壁のビット(頭の丸い杭)に掛けたり、取り外したりする作業。
●ログブッグ(Logbook)
航海日誌。船長が記入する。航海の記録を毎日、記入する。単にログともいう。
M
●マル・シップ(Maruship)
日本籍船で外国人船員が配乗されている船舶のこと。日本籍船を外国船社に裸用船に出し、これを受けた外国の用船主が配乗権を持って外国人船員の配乗を行う。
●メイトル・ディー(Maitre D')
給仕長。正式にはメイトル・ドテル(Maitre D'hotel)と言う。ダイニング・ルームの入口でお客様のシーティングを決めるのがメイトル・ディー。食事や食事中のサービスの責任者で、お客様の相談役、要望の窓口でもある。シーティングなど食事に関するリクエストはメイトル・ディーへ。
●MS
モーターシップ(Motor Ship)。MS、M/Sと略して船名の前に表示する。MV(Motor Vessel)と表示する場合がある。→SS。Steam Ship(蒸気船)
N
●内航船
関税法上の「国内沿岸運航船舶」の俗称。外航船以外の商船をいい、通常日本国籍船だけである。出入港に際しては、港則法、港湾法関係の法規制を受ける。→外航船
O
●オフィサー(Officer)
士官。上級乗組員。→クルー
●オンボード・ブッキング(On Bord Booking)
乗船中に次回クルーズを予約すると、一定の割引が適用されるリピーター制度。
●オンボード・クレジット(On Board Credit)
一定額付与されるもので、船内での買い物(ドリンク、物品、ショアエクスカーションなど)や有料サービス(クリーニング、スパなど)に利用できる。通常、譲渡や換金、返金は不可。
P
●パナマ運河(Panama Canal)
パナマ共和国のパナマ地峡を開削して太平洋とカリブ海を結んでいる閘門式運河で、1914年に竣工した。全長は、約80km、最小幅は、192m。閘室は、長さ335m、幅33.5m。通航の所要時間は、約9時間。現在、運河は2014年の竣工に向け、拡張工事が行われている。
●パナマックス(Panamax)
パナマ運河を通過できる船の最大許容サイズのこと。船幅 32.31メートル、船長 294.1メートル(船のタイプによる)、水深12メートル。パナマ・マキシマム。パナマ運河で船を上下して航行するロック(閘門)の幅が32.31メートル。これ以上の幅がある船はパナマ運河を通過できない。しかし、最近はパナマックスを超える大型船が建造されているが、当初からパナマ運河を通過しないクルージング海域での航海に集中するマーケティング戦略である。
●パイロット(Pilot)
水先人。運航が制限される水域や強制水先区域に指定されている港湾では船長の助言者という立場で船舶の操縦を指揮する。各海域には専門の水先人が常駐して安全航海を支えている。船長など長いキャリアを持つ人が多い。航空機の機長(パイロット)はこれに由来する。
●ピッチング(Pitching)
船が前後、縦に揺れること。外洋での波のウネリの最大波長は150メートルといわれている。したがって、これより長い船ならばピッチングは吸収できて、縦揺れが感じられなくなる。船が大型化するほどピッチングが少なくなるのはこのため。←→ローリング(Rolling)横揺れ。
●ポッド(POD)推進装置
電気モーターとプロペラを一体に組み込んだ繭型(ポッド=POD)推進装置のこと。ポッド自体は360度回転させることもでき、舵の役割も果たす。カーニバル・クルーズの「イレーション」が客船として初めて搭載した。
●ポンツーン(Pontoon)
浮き桟橋のこと。船が地勢などから接岸できない場合、ポンツーンを使用して、ここを基点にテンダーボートで船と陸の間を行き来する。
●ポート・ホール(Port Hole)
舷窓。船の丸い小窓。昔の軍艦・海賊船では砲門の意味もあった。
●ポート・チャージ(Port Charge)
入出港に要する費用で、入港料、水先料、曳船料、岸壁使用料、綱取/放し料などがある。日本船ではクルーズ料金に含まれているが、外国船では別払いになることが多い。船の大きさ、停泊時間などによって港ごとに定められている。
●ポート・サイド(Port Side)
左舷の意味。昔から港への着岸は左舷で行われていたので、この意味になった。単に「ポート」ともいう。船での慣行は航空機にも継承されており、航空機の搭乗も機首に向かって左側で行われている。ポート・サイド(左翼)に赤色の表示灯が付けられているのも同様だ。⇔スターボード・サイド、右舷。
●パーサー(Purser)
事務員。その長がチーフ・パーサー。職務の範囲は広く、船内の金銭管理は総てパーサーに依る。接客、CIQの手続き、物品購入、郵便物の管理、船内新聞の発行、貴重品預かり、船客関連の各種サービス、クルーの人事までこなす。
R
●ラット・ガード(Rat Guard)
接岸中にネズミが船内に侵入することを防ぐ円錐型の金属筒。係船用のロープ(ホーサー)に取り付けてある。かつては船内のネズミ対策としてネコを乗せていた船もある。
●レセプション(Reception)
ホテルのフロントに該当するサービス・スポット。各種の相談や郵便物の発送、遺失物の問い合わせ101第21章基本クルーズ用語などお客様のいろいろな質問、サービスに対応する。通常、メイン・デッキにある。
●ローリング(Rolling)
船の横揺れフィン・スタビライザー(横揺れ防止装置)の装着でローリングが大幅に解消されている。
S
●スエズ運河(Suez Canal)
スエズ地峡に位置し、地中海と紅海(スエズ湾)を結ぶ全長163kmの世界最大の水平海洋運河で、1869年に開通した。幅は34m、深さ15m。運河の北の地中海側にポートサイド、中間地点にイスマイリア、南のスエズ湾側にスエズの町がある。また、運河のほぼ中間地点に桁下高さ70mのスエズ運河橋(ムバーラク平和大橋)が架かる。通航の所要時間は、北行きが約12時間、南行きが約18時間。
●スエズマックス(Suezmax)
スエズ運河を満載状態で通航し得る最大船型のこと。ほぼタンカーに対して用いられる。スエズ運河は閘門がないので、重要な制限要素は前掲の通り、喫水とスエズ運河橋による高さである。従って、一部のタンカーは喜望峰回りの選択を余儀なくされる。
●船籍国(港)(Port of Registry)
船舶が登録されている国(港)のこと。全ての船舶は、船籍を持つことが義務付けられ、登録国の法律に従い、船舶の検査、税金の支払いがなされる。外航船は外国の領海では船尾に船籍国の国旗を掲げる。
●セイルアウェイ・パーティー(Sailaway Party)
出港時にプロムナードデッキなどで行われる出港セレモニー。
●ショア・エクスカーション(Shore Excursion)
寄港地での観光旅行。オプショナルツアーになるのが一般的である。半日、1日のツアーから次の寄港地まで数日かけて列車やバス、航空機で旅行するオーバーランドのショア・エクスカーションも少なくない。乗船前に予約できるが、寄港直前に船内で申し込むことも多い。
●スタッフ・キャプテン(Staff Captain)
副船長。安全航海やセキュリティの責任者。キャプテンがパーティーなどで接客しているときは運航業務の総指揮を執っている。バイス・キャプテン(Vice Captain)ともいう。
●スターボード・サイド(Starboard Side)
船首に向かって右舷をいう。面舵、つまり進行方向の右側をさす。舷灯は緑色。バイキング時代の船は右側に操舵装置(スティア:Steer)が装備されていた。これが転じてスティア・ボードからスターボードになったといわれる。舵が右舷から出ていたので着岸するときは支障になった。このために着岸は左舷で行われるようになった。←→ポート・サイド、左舷。
●スターン(Stern)
船尾アフト。
●スペシャリティ・レストラン(Speciality Restaurant)
ダイニング・レストラン、カフェテリア、コーヒーハウスなどの他に船内に設けられているレストラン。イタリアン、メキシカン、中国、カリフォルニア、アジア各国、そして和食など世界各地の味覚を専門店スタイルでサービスしている。乗客の自由度と選択幅を拡大して、好みに応じた食事が楽しめるように多くのサブ・レストランを設けるクルーズ船が増えてきた。
T
●テーブル・スチュワード(Table Steward)
ダイニング・レストランでのテーブル付きのウエーター。着席が指定されるシーティングの場合はテーブル・スチュワードが毎日、同一人物になることが普通。
●テンダーボート(Tender Boat)
小島や接岸できないときに船と陸の間を行き来する小型ボート。略してテンダーという。救命艇とは異なって、テンダー・ボートにはそれぞれ名前がつけられて、独立して登録されている。
●トン(Ton)
船の重量、容積などを表す基準。船の容積を表すトンが総トン(Gross Tonnage)、純トン(Net Tonnage)。また重量を表示するものとして排水トン(排水量トン)、載貨重量トンなどがある。クルーズ船は通常、総トンで表示されている。
●タグボート(Tugboat)
曳船のこと。パイロットや船長からの指示に従い、大型船の船首や船尾を押したり引いたりして移動させたり、方向を変えたりして安全に離着岸させる。
W
●ウエーター(Waiter)
レストランで飲食サービス全般を担当するスタッフ。レストラン全般を目配り、気配りしているヘッド・ウエーター、各テーブルに担当するテーブル・ウエーター、その補助をするアシスタント・ウエーター(バス・ボーイともいう)がいる。
●ウェルカム・パーティー(Welcome Party)
出港当日、または翌日の夜に行われる船長主催の歓迎パーティー。
●ワイン・スチュワード(Wine Steward)
ワイン係。ソムリエのこと。